超音波はんだ技術を用いることで、通常のはんだ付けでは難しいガラスの接合が可能となります。超音波はんだ技術を用いたガラス接合が可能となる理由は、まず超音波振動によるキャビテーション(液中での微小気泡の形成・破壊)によってガラス表面が活性化される点にあります。
ガラス表面のごく薄い酸化膜や汚染物質がキャビテーションの衝撃によって除去されることで、ガラス面のエネルギーレベルが高まり、表面がはんだを受け入れやすい状態になるのです。
次に、その活性化されたガラスに対し、酸素親和力の強い専用はんだを用いることで、空気中から取り込まれた酸素を通じてガラスとはんだが化学結合を形成します。従来のフラックス(化学的に酸化膜を除去する薬剤)を必要としないため、無機物であるガラスのようにフラックスでは対応しづらい材料でも、安定した接合が可能になります。
これらのプロセスにより、ガラス基板同士の接着やガラスと金属のハイブリッド接合などを実現できる点が大きなメリットです。

超音波はんだ技術を活用したガラス接合事例
太陽電池の電極形成
太陽電池のガラス基板に発電電流を取り出すための電極を形成する際、フラックスに頼りにくいガラス基板でも安定したはんだ付けが行える超音波はんだ技術が活用できます。
まず、成膜されたガラス基板に対してはんだを供給しながら超音波を用いて予備はんだ付けを行い、ガラス表面を活性化させつつはんだ層を形成します。

次に、その予備はんだされたライン上に銅平角線を配置し、再び超音波ではんだ付けを行うことで電流用の接続部を作ります。このとき使用するはんだは、酸素親和力が高い専用の「Ecologia」を用いることで、ガラス表面との化学的結合を促進し、強固な電極として仕上げることができます。
光ファイバとフェルール(コネクタ)接合

光ファイバに用いられる石英ガラスとキャピラリとして用いられるアルミナを超音波はんだで接合する際には、まずはんだ供給とともに超音波振動を作用させることで、両者の表面を活性化させる点が重要です。
超音波振動によって微細なキャビテーションが発生し、ガラスやアルミナ表面の酸化膜・汚染層を物理的に除去しながら、酸素親和力の高い専用はんだが空気中の酸素を取り込むことで化学結合が形成されます。
通常のフラックスでは難しい無機材料同士の接着も、このプロセスによりフラックスレスで安定したはんだ層を得られるため、光ファイバの高い透明度やアルミナの機械的強度を損なわず、確実な接合が可能になります。結果として、石英ガラス―アルミナ間の密着性や機械的強度が大きく向上し、光学・電子分野での高耐久な封止・アセンブリ手法として利用されています。
リソー技研の超音波はんだ技術にご期待下さい
当社では、超音波はんだ装置製造のパイオニアとして、様々な製品を取り扱っております。ハンディタイプのはんだごてから、量産専用の完全オーダーメイドの自動化装置まで、様々なご要望にお応えしております。