モーターやコイルに使用されているマグネットワイヤ(エナメル線)の端末処理(はんだあげ)は、温度で溶ける製品も存在するものの、殆どのマグネットワイヤについては、ヤスリや特殊な溶剤でワニス(エナメル)を剥がし、フラックスで芯線の酸化膜を除去した後、はんだ処理を行っている。

プロセス提案

  1. Velbond(超音波はんだ付け装置)により超音波振動をEcologia(エナメル被覆除去用はんだ)に印加し、キャビテーションを発生させて被覆を除去
  2. 被膜除去と同時に芯線へはんだコーディング(予備はんだ)
  3. 最後にお使いのはんだ(SnAgCu等々)で仕上げ(その際、フラックスは必要無し)

なぜ専用はんだ(Ecologia)を使うのか?

超音波はんだ付け装置のコテ先はステンレス製のため、一般的なはんだ(例:SnAgCu)は濡れ性が悪く、キャビテーション効果も薄れ、作業効率に支障があります。弊社の開発したEcologia(SnZn系はんだ)は超音波はんだ付けに適した材料を配合されているため、作業効率を改善し品質も向上するのです。

Ecologia(エコロジア)とは

  1. Ecologiaはノンフラックスのため洗浄の必要もなく有害な煙も発生しません。
    ※但し、法律上ははんだ付け作業環境において排煙設備を設ける必要があります。
  2. 約98%錫で出来ているため一般的なはんだとの相性も問題ありません。

特許出願中:特願2015-230554

新発売「エナメル除去用コテユニット」

チップ先端がエナメル線径に合わせた穴とスリットが放射状に加工されており、振動を加えるとスリットが捻られ、エナメルを除去します。

エナメル除去用コテユニット

コテユニットの機能

ヒーターを設定しカップを温めはんだをカップに溶かし入れまます。
チップ中心部にエナメル線を挿入し数秒予熱します。
超音波を印加しながら、エナメル線を上下します。

コテユニットの仕様

<USW-760標準機に接続可能>

超音波周波数60KHz
超音波発振出力20W
ヒータ高性能シーズヒータ(250W)
ヒータ温度設定200~500℃
コテ先径カスタム
質量約1.6kg

エナメル線被覆除去過去の実験事例

ワニス線材質形状実験結果備考
UEWCuΦ1.0~0.5mm短時間で除去可能
PEWCuΦ1.0~0.5mm短時間で除去可能
PEWCuΦ0.5mm以下線のこしが弱く無理
PEWNiCuΦ0.5mm以下短時間で除去可能
PEWALΦ1.0mm短時間で除去可能
AIWCuΦ1.0~0.5mm時間がかかるが除去可能
AIWCuΦ0.5mm以下線のこしが弱く無理
AIWCu平角困難
AIWクラッド線Φ0.2mm時間がかかるが除去可能
EIWCu平角困難

マグネットワイヤの品種

線記号名称ワニス組成耐熱温度特徴用途
UEWポリウレタン線熱硬化性120℃皮膜を剥離することなく、直接はんだ付けができます。小型モータ
IMW(PIW)ポリイミド線熱硬化性240℃耐熱性がエナメル線類中最も良く、過負荷特性が優れています。誘導加熱コイル
PEWポリエステル線熱可塑性155℃耐熱性、耐溶剤性に優れています。汎用モータ
EIWポリエステルイミド線熱可塑性200℃耐熱性、耐熱衝撃性、耐溶剤性に優れています。耐熱モータ
HMW(AIW)ポリアミドイミド線熱可塑性200℃高耐熱性で、耐摩耗性、耐冷媒性、耐湿熱性に優れています。電動工具

ワニス(エナメル)組成が、熱可塑系樹脂(ポリエステルやポリアミドイミド)であれば、超音波振動で破壊することが可能。

購入をご希望の方

デモ機の貸出しや出張訪問サービスなどを行っておりますので、購入をご検討の方は下記をご覧の上、お問い合わせをお願いします。また、超音波はんだに関する技術的な相談もお気軽にどうぞ。